天の川銀河のブラックホールを初撮影!! ブラックホールって? どうやって撮影した?

   

天の川銀河のブラックホール(出典:国立天文台など提供)

 

天の川銀河のブラックホール撮影に成功

日本の国立天文台などの国際チームは2022年5月12日、太陽系が位置する天の川銀河の中心に位置する巨大ブラックホール「いて座Aスター」の撮影に成功した。

宇宙で未だ多くの謎に包まれているブラックホールが撮影されたのはこれが世界で二例目で身近な銀河である天の川銀河での撮影は初めてです。

以前から宇宙の研究者は天の川銀河の「いて座Aスター」の存在を提唱しており、

「いて座Aスター」は地球から2万7000光年離れた位置にあり、太陽の400万倍という巨大な質量をもつとされている。

このブラックホールは、重力が大きすぎるがゆえに光さえも引き込まれて脱出不可能なため撮影することは困難であった。そこで、国立天文台などの国際チームが地球上の6か所に電波望遠鏡を設置し、高解像度で宇宙を観測できる地球サイズの大きな望遠鏡の作製に成功している。この望遠鏡を用いて2019年に初めてブラックホールの撮影が成功している。また、今回が二例目です。

今後は、今回撮影された画像やデータが解析され、物理法則の検証などの新たな発見や宇宙での物理のメカニズム解明に向けた検証などが行われる。

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ブラックホールとは

そもそもブラックホールとは何者なんでしょうか。

ブラックホールは、質量が大きいために'その重力'が大きすぎてそこから光さえも脱出することができない天体のことを意味します。そのため、宇宙にぽっかり穴が空いているように見えるため、ブラックホールといわれています。

一般的にブラックホールは、もともと星だったものが崩壊することなどで超新星爆発を起こすことでできるものだとされています。

 

ブラックホールからの脱出

ここで、ブラックホールから脱出できないの?という疑問が生じると思います。

この疑問について考えてみたいと思います。

まずは、身近な地球について考えてみます。地球から宇宙に行くときはロケットを使うと思いますが、これはロケットの速度が地球の重力より大きいからです。この時必要なロケットの速度は秒速11.2キロメートルです。これを第二宇宙速度と言ったりします。

ちなみに、第一宇宙速度とは、地球から打ち出したものが人工衛星と同じ軌道に行くための速度で秒速7.92キロメートル必要です。

このことから、地球を脱出するためだけでも、考えられないような速度が必要となります。

また、太陽系から脱出するためには太陽の重力を振り切る必要があります。この太陽の重力を振り切り、太陽系を抜け出すためには秒速16.7キロメートルの速度が必要でこれを第三宇宙速度といいます。

これらのように、早すぎる速度とはなりますが、ある速度以上を超えると重力を振り切れりという事になります。

ただ、速度の上限ってありますよね?速度の上限とは光の速度で秒速約30万キロメートルです。これは一秒で地球7周半する速度になります。

もし、光の速度よりも重力のほうが大きかったらどうなるでしょうか?

光以下の速度のもの、つまりすべてのものが脱出できないという事になりますよね。

そのような巨大な重力を持っているのがブラックホールです。

光でさえも脱出できないため、ブラックホールは私たちの目には届かず、見ることは難しいとされていました。しかし、国際チームが地球サイズの大きな望遠鏡を作製し、2019年にブラックホールの撮影に初めて成功しました。

 

ブラックホールの撮影は難しいのか?

どうやって撮影した?

2019年に初めてブラックホールが撮影されました。

     

初めて撮影されたブラックホール(出典:国立天文台など提供)

 

このブラックホールは地球から約5500万光年離れた銀河であるM87銀河の中心にあり、太陽の約65億倍という重さを持った超巨大ブラックホールです。

国立天文台などの国際チームは、南米チリやハワイ、南極など計6か所に8台の電波望遠鏡を設置し、連動させることで地球サイズの望遠鏡を作成しブラックホールの観測に成功した。この地球サイズの望遠鏡は、人の目に例えると視力300万で、地上から月面に置いたゴルフボールを見分けれるほどの能力を持っている。

このような超高解像度な望遠鏡を駆使することでようやくブラックホールの撮影に成功しています。

ブラックホールから光は脱出できないため撮影はできないように思いますが、

一方で、ブラックホールの巨大な重力によって周辺に引き寄せられたガスなどが明るく光り、今回と前回のようなブラックホールを影のように浮かび上がらせた画像の撮影に成功しています。

これにより、ブラックホールの存在が完全に証明されました。

今後より多くのブラックホールの画像が撮影され、宇宙の謎が解明される日を待ちわびたいです。

 

ちなみに

ホワイトホールとは

ブラックホールに吸い込まれたものはどこへ行く?という議論から、

ブラックホールに吸い込まれたものはホワイトホールから吐き出されるという説があります。

ブラックホールの反対がホワイトホールとされています。

ホワイトホールはガンマ線バーストと呼ばれる現象によって引き起こされるものという説やブラックホールの寿命が尽きたときにあらわれるという説もあります。

何にしろまだ不明なことが多く、ホワイトホールが存在するのかはまだ未確定であり、現在もホワイトホールに関する議論が活発に続けられています。

 

まとめ

今回がブラックホールをとらえた2つ目の事例となりました。

今回撮影された「いて座Aスター」と以前撮影されたM87銀河のブラックホールの画像を詳細に比較することなどによりブラックホールの活動性の違いや宇宙や銀河の起源や解明につながる可能性があるといわれている。

今後、さらに宇宙研究が進み、私たちが生きている間にどうやって宇宙ができたのかやブラックホールの詳細なメカニズム、ダークマターやダークエネルギーが何なのかなどの多くのことが解明されてほしいなと思います。